さぽーと紡は、東日本大震災による原発事故で避難を余儀なくされた母親達が、繋がり続けたい思いで立ち上げた任意団体です。
2012年9月から、主に子どもたちの保養について取り組んできました。
普段の生活に「放射線」が出てきてからは、福島県では今も毎日、天気予報と一緒に今日の放射線量が発表されています。多分、県外に住む人は、知らないことです。あの事故がなかったら、放射線のことについて全くわかりませんでしたが、今は、心の中に不安はあっても、考えても仕方がない、明るく前向きに生きようとするのは当然の本能で、非日常だったことが日常に変化し、情報があったとしても地域や放射線量の線引きと無関心は続いています。
しかしながら、親御さん、妊婦さんや、免疫力が弱い人は、放射線をできるだけ避けたい、避けてあげたいと思うのが当たり前です。その思いを心に留めずに、もっと言葉にしてほしい、伝えてほしいという思いで、保養の企画を続けてきました。
避難者のお話を聞いていただく機会や、行政への要請、裁判などにも関わり、それが避難した家族の生活の一部になっていましたが、2013年から2019年まで夏に京都で企画した保養「つむぎプロジェクト」を通して、東北から保養に来られた家族と出逢い、現地で暮らす苦しみ、避難した苦しみを互いに共有することができました。
さぽーと紡での独自の保養企画は、2019年の夏をもって終了するため、報告をまとめている間、2019年10月に令和元年台風第19号が発生し、急遽、支援物資の郵送や募金活動を行いました。
災害から起こる様々なニーズに沿って、さぽーと紡は継続して活動をしていきたいと思います。
今後は、個人宅で保養の受け入れをしているところや、健康相談会の活動へのサポート、また、やりたいことがあっても一人では動けないという被災者へのバックアップ、そして急な災害への支援にも随時携わっていきたいと思っています。
繋がった大人たちが一緒に子どもたちの未来を守っていけますように。
2019年秋
さぽーと紡 齋藤 夕香
私達が芝生に思いっきり寝っ転がること、いたって普通のことかもしれませんが、芝生は放射性物質を吸収しやすく、水が溜まりやすい場所や、湿気が多いところなども、高い数値が出ることがあります。それを知ったのは、東日本大震災で起きた原発事故がきっかけでした。
物質自体、蒸発して消えてしまうことはありません。測定して反応があっても、数字を知っても、においもしないし何も感じませんから、不安になったり安心したりします。
測ることも、不安な気持ちも、我慢したくないという思いも、測らないほうが気にしなくていいということも、どれも、身を守るための防護策です。
本当は素人個人で判断することではないのに責任転嫁され、いつのまにか風化している、そんな風に感じています。私たちができることは何かを常に意識しながら活動していきたいと思っています。